親類や上司など、日頃お世話になった人たちに、感謝の気持ちを込めて贈り物をする年末桓例の行事が「お歳暮」。12月初旬から25日までに贈るのが一般的です。
昔は先祖の霊を祀る「みたままつり」に用いるお供え物を、年末に親元や本家に届ける風習がありました。
やがて親類やお世話になった人にも贈るようになりましたが、これも贈るばかりではなく、感謝のあいさつに伺う歳暮廻りかおり、また、酒宴に招いて感謝するという慣行もあったそうです。
徒弟制の時代には、親方へ贈り、親方からもお歳暮返しがありました。
お歳暮はその名残とされています。
本来は出世魚の塩ザケや塩ブリを贈るケースが多かったようです。
新巻鮭
これらは「年取り魚(としとりざかな)」といわれ、年越しの膳には必須の品でした。
同時に、保存性の高さも重宝がられていたようです。
年取り魚は年越魚、正月魚(しょうがつうお)ともいいます。
「みたままつり(御霊祭り/御魂祭)」は、家ごとに「御魂の飯」などといわれるご飯を用意してお供えし、先祖の霊を祀る行事です。
ただ地域によっては、年神や無縁仏に供え物をすることがあるなど、祀られる対象が変わりす。
また靖國(やすくに)神社のみたままつりは夏の風物詩となるなど、神社で行われることもあります。
現代のお歳暮は、日ごろお世話になっていながらお礼をしそびれている相手などに、感謝の気持ちとともに贈るもので、お中元よりも格が上です。
お歳暮は本来、持参して挨拶とともに差し上げるものですが、現在は、ネット通販で注文してから贈る配送が一般的になりました。
12月13日から遅くとも20日くらいまでに届くようにします。
時期を逃した場合は「御年賀」として松の内(1月7日)までに届くように送りましょう。
金額は3000~5000円で、和・洋菓子やビール、ジュースなどの飲料、ハム、海産物など、食料品が人気です。
お歳暮やお中元はお祝いではないので、贈る側、贈られる側のどちらかが喪中でも本来はかまいません。
ただし紅白の水引で贈るのは無神経なので、略式の短冊や水引やのしの印刷されていない無地のかけ紙で贈ります。
ただし、四十九日の忌明けがすんでいない場合は時期を遅らせます。
お歳暮なら「寒中御見舞」として松の内が過ぎてから届くように送るとよいです。
他家に嫁いだ娘が正月の歳神様(としがみさま)に供える祝い肴(新巻鮭、ブリなど)を実家へ贈った習わしが残り、暮れの贈答品として新巻鮭などがよく用いられたようです。また、戦前は米、野菜、魚、鏡餅、酒などの神棚にお供えするものをお歳暮としていたことが、現在の食料品中心のお歳暮につながっているともいわれています。
お歳暮の「歳暮」とは、文字通り年の暮れであり、年末を表します。それに「お」がついて、年末の贈りものを意味するようになりました。お歳暮を贈る時期は、本来はご事始めの日(正月を祝う準備を始める」の十二月十三日から二十日までの間でした。現在では、十二月初句から十二月二十五日頃までに贈るのが一般的です。
最今の傾向では、十一月下旬から贈り始める方も増えてきましたが、本来の意味を考えると十二月に入ってから先さまへ居くようにしたいものです。また百貨店でもインターネットによるお歳暮の受注が増え、自宅にいながら、都合のよいときに簡単に申し込みができるようになりました。
ゆっくりと品選びをして、余裕をもって贈られることをおすすめします。
本来は、お歳暮を百貨店などから直接配送するときは品物が届く数日前に、日頃お世話になっていることへの感謝する気持ちを込めた手紙を送ることが好ましいです。それが難しい場合は、せめてカードだけでも品物に添えましょう。
年末には地方ごとにさまざまな贈りものの習慣があります。成長に伴って呼び名が変わる鰤(ぶり)は出世魚であり、縁起がよく、めでたい魚。さらには縁の実家に鰤(ぶり)一尾を贈るのは、一般に「お宅の娘さんは、嫁ご”ぶり”が大変によい」というメッセージが込められているとも考えられています。各地方の贈りものをみると、北海道や東北などでは、正月の食用として鮭が多く使われ、北陸や九州などではブリが使われるようです。
喪中は通常一年間ですが、現代においてはその期間であっても忌明(きあ)け(四十九日)を過ぎていれば、お歳暮を差しあげてもかまいません。
「帰省」+「お歳暮」という意味の「帰歳暮」。帰省代わりに遠くの家族や友人に贈るギフトとして、注目を集めています。
様々な事情により年末年始の帰省が難しい方が、帰省できない代わりにギフトを贈りたい方、久しぶりの帰省に、ちょっぴり特別な手土産を用意したい方へ、各種「帰歳暮」をご紹介。
お中元やお歳暮は「予算がかかる」「気を使う」などの理由で贈っていない人も増えているようですが、「帰歳暮」は近しい人向けで軽い気持ちで贈りましょう。
帰歳暮は新しく生まれた文化なので、まだ決まったルールはありません。お歳暮に加えて帰歳暮を贈る人もいれば、帰歳暮のみを贈る人もいます。帰歳暮はあくまでも「日頃の感謝を伝えるためのギフト」という位置づけで、贈り方は人によって異なります。
熨斗(のし)などもつけず、カジュアルなアイテムを気軽に贈ることができるので人気が上がっています。熨斗をかける場合は、表書きを「感謝」「ご挨拶」「帰省に代えて」などにすると良いでしょう。郵送で贈るので内熨斗にしましょう。「いつもありがとう」「早く会いたいね」「体に気をつけて、楽しい年末年始を」など、さまざまなメッセージを添えて贈るのもいいでしょう。
お歳暮やお中元のように決まっていません。帰省の代わりのギフトなので、帰省シーズンや予定していた時期に郵送すると良いでしょう。